ストレスチェック制度とは?

用語の説明


 当Webサイトに限って用いている語句
用 語説 明
厚労省マニュアル 『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』を指します。平成27年5月に「厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室」および 「ストレスチェック等を行う医師や保健師等に対する研修準備事業 ストレスチェック制度に関するマニュアル作成委員会」から公表されました。
 平成28年4月に改訂版が公表されています。(こちら:厚生労働省ホームページ内にリンク)



 ストレスチェック制度の中で使用され、かつ一読してイメージされる意味のほかに特定の意味を含むような語句を以下に取りあげました。用語単体の意味だけでなく、各用語間の関係性を把握できるよう、多少範囲を広げて説明しています。
 なお、厚労省マニュアルには他にも制度の中で使用される言葉の説明が載っています(印刷表記「-3-」「-147-」ページ)。必要に応じて参照してください。

用 語説 明
ストレスチェック労働安全衛生法では「心理的な負担の程度を把握するための検査」と記載されています。(詳しくは「法的な根拠等」のページを参照)
事業者 ストレスチェック制度の対象となる企業、団体のほか、学校や地方公共団体も含まれます。また、例えば本社と事業所から成るような企業の場合、原則として各事業所単位で制度が適用されます。衛生委員会による調査審議や労働基準監督署への実施状況報告も事業所ごとに行うこととされています。ストレスチェック実施後は、実施者から集団的な分析結果(後述)を受け取り、職場改善に活用しなければなりません。
ストレスチェック制度担当者/実務担当者 事業者サイドで、ストレスチェック制度に関する実務を担当します。実施計画の策定、当該事業場の産業医等の実施者又は委託先の外部機関との連絡調整及び実施計画に基づく実施の管理等の実務を担います。事業所の衛生管理者や、メンタルヘルス指針に規定する事業場内メンタルヘルス推進担当者が当たることが望ましいとされていますが、人事課長など人事権を持つ者が当たることも可能とされています。原則、実務担当者はストレスチェック結果等の個人情報は取り扱わないことになっています(この点、実施者を補助する「実施事務従事者」とは異なります)。
実施者 各事業所に所属する従業員のストレスチェック(検査)を実施する者を指します。産業医、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士のいずれかが従事しなければなりません。衛生委員会等の審議を経たうえで、外部機関に委託することも可能です。厚労省マニュアルでは産業医が従事するのが望ましいとされています。
 ストレスチェック(検査)結果については守秘義務が課され、労働者本人の同意なく事業者に知らせてはなりません。その一方で、結果について集団的な分析(後述)を行なって、事業者の職場改善に繋がる情報を提供しなければなりません。
実施事務従事者 実施者の補助をする人を指します。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当します。外部委託も可能です。守秘義務や果たす責務は実施者と同様です。
面接指導を担当する医師厚労省マニュアルでは、面接指導を実施する医師として以下の医師を推奨、または望ましいとしています(印刷表記「-67-」~「-68-」ページ)。
  • 産業医もしくは産業保健活動に従事している医師を推奨
  • 外部の医師に委託することも可能だが、産業医資格を有する医師に委託することが望ましい
  • 面接指導は精神疾患の診断や治療を行うものではなく、必ずしも精神科医や心療内科医が実施する必要はないが、労働者の状況によっては、専門医療機関への受診勧奨の要否も判断する必要がある場合があるため、面接にあたる医師はメンタルヘルスに関する知識や技術を持っていることが望ましい
衛生委員会等 厚労省マニュアルでは、衛生委員会と安全衛生委員会を指します。労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進を目的とし、社内に設置することが法律で義務付けらています(労働安全衛生法 第18条、19条)。なお、法律では「安全委員会」と「衛生委員会」の2つを設置するか、2つの委員会を兼ね備えた「安全衛生委員会」を設置することとなっており、どちらの形態にするかは事業者が決めることができるとされています。業種・業態や人数規模により、事業者ごとに設置形態は異なるようです。安全委員会は主に直接的・身体的な危険防止に重点が置かれており、衛生委員会はメンタル面も含む健康障害防止に重点が置かれています。
高ストレス者 ストレスチェック(検査)の結果、ストレスが高いと判断される労働者のことです。なお、厚生労働省からは判定のための具体的な基準は示されていません。実施者の意見及び衛生委員会等での調査審議を踏まえて、事業者が決めることとされています。具体的な手法等について、厚労省マニュアルに記載されています(印刷表記「-38-」~「-46-」ページ)。
 医師による面接が必要かどうかは実施者が個別に判断し、労働者本人に通知することとなっています。
集団ごとの集計・分析 「集団的な分析」等、他の言い回しが使われることもあります。ストレスチェック(検査)結果をもとに、実施者が行います。結果を一定規模の集団ごとに集計し、分析するものです。「一定規模」とは、職場環境を共有し、かつ業務内容について一定のまとまりをもった部、課などの集団のことです。具体的に集計・分析を行う集団の単位は、事業者が事業場の実態に応じて判断します。ただし、集計・分析の単位が10人を下回る場合には、個人が特定される恐れが出てくるため、集計・分析の対象となる全ての労働者の同意を取得しない限り、実施者は事業者に集計・分析の結果を提供してはなりません(厚労省マニュアル 印刷表記「-83-」~「-85-」ページ)。
(実施者は集計対象の部署をどうするかや、集計単位が10人を下回った場合の措置など、あらかじめ事業者との間で決めておくか、都度、事業者と協議しながら進める必要があります。)
ICT 厚労省マニュアルでは「Information Communication Technology の略。インターネットや社内イントラネットを用いたストレスチェックの実施の趣旨。」と説明されています(印刷表記「-14-」ページ)。
 すなわち、紙の調査票は使用せず、労働者はパソコン等の電子機器を通じて画面に表示される検査項目(質問)に回答の入力を行い、実施者は画面を通じて検査結果を管理・分析を行う方法のことを指しています。