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パーソナリティ診断 サービス

事例レポート

隠れたリーダー人材を探せ

~ 管理者適性を踏まえた人材選定 ~


技術者にも必要なリーダー適性

 高度成長期以来、日本の製造業は品質の良さと技術力で世界から高い評価を得てきました。中心的な役割を担ってきたのは高い技術を持つ一人ひとりの技術者です。これからも日本のモノづくりを支えてくれるものと期待されています。近年は以前にも増して市場ニーズが多様化しており、新しい製品・サービスが次々と生まれています。新技術が開発され、従来の技術にとって代わる事例も耳にします。変化する状況に対応するには、技術者であってもビジネス環境に気を配り外部の情報に接して周囲をリードしていくことが求められます。

 B社は関東地方で電子部品の加工・製造を営む社員数100人未満の中小企業です。素材に特殊加工を施して品質を向上させる専門技術を持ち、多くのメーカーに製品やサービス提供しています。B社の技術が用いられた多くの製品が流通していますが、社名が表に出ることはなく「縁の下の力持ち」のような存在です。社長のY氏はそのような役割に誇りを持ち、社員も満足しています。
 従業員は技術者が大半を占めています。作業は少人数のチームに分かれて行っています。小回りが利き、隣のチームの様子もよく分かるので、必要ならば直ぐに助け合うことができます。そんな社風の強みが発揮され、これまで順調に業績を伸ばしてきました。
 しかし順調である一方、社長のY氏には「はたして、これがいつまで続くだろうか・・・」という危惧もありました。

B社の概要

  • 電子部品の加工・製造
  • 特殊加工による、素材の品質向上
  • メーカのサプライーチェーンの一角
  • 100人未満
  • 大半が技術者

 日本の製造業は大手企業を中心に網の目のようなネットワークを形成しています。B社のように専門技術を持つ中小企業は、他の企業のサプライチェーンに組み込まれて製造工程の一角を担っています。原材料価格や為替の変動のほか、技術の急速な発展もしばしばサプライチェーンに大きな影響をもたらします。一例を挙げると、デジタルカメラの急速な普及は消費者の利便性を高めた一方で、写真フィルム業界と関連する企業群にダメージを与えました。分野が異なるとはいえ、特定の技術を売りにしているY社長には決して他人ごととは思えませんでした。経営者としてこれまで以上に業界動向に気を配るとともに、変化に対応できる人材、とりわけ皆を引っ張っていけるリーダーの必要性を感じるようになりました。

データをもとにリーダー候補を選定

 Y社長によれば、B社の社員には職人気質(かたぎ)の人が多いとのことでした。代々先輩達から仕事を教わり、忠実に顧客の注文をこなし、それをよしとしてきました。管理職もチームを引っ張るリーダーというよりは、皆を見守るまとめ役のような存在です。
 これまで管理職を選ぶ際は現場での経験を重視してきました。現場の仕事をよく知っていてこそ部下の面倒が見られるとの考えからです。性格も「まとめ役」にふさわしい穏やかな人材が多かったとようにY社長には思えます。しかし今後は周囲のことに関心を持ち変化の兆しを捉えて新しい方向に皆を引っ張れる人材が必要と思われました。

 いま社内にそんな人間がいるだろうか── Y社長の脳裏に何人かの顔が浮かびますが、なんとなくそう思う程度のものであり、裏付けるデータのようなものはありません。主観に左右されず、性格や気質を見て人材をマネジメントし、成功しているような事例はないだろうか?── Y社長は経営者の交流会で知り合った人材コンサルタントに相談してみました。
 紹介を受けて、弊社がお手伝いすることになり、姉妹サービスである、チーム力/組織診断、モチベーション診断、体調診断などとともに、パーソナリティ診断を実施することになりました。

 弊社のパーソナリティ診断では、利用者にWeb上で約70問の設問に回答してもらいます。回答は選択式で、かかる時間は平均して10分間程度です。各設問への回答結果は点数化され、個性タイプや管理者適性を判定するための指標に変換されます「概要」ページを参照)
 B社における診断結果を整理したところ、リーダーとしての適性が高い人材が10人ほど見つかりました(図1)。

図1.管理者適性指標から見た、B社における人材分布

指標1:「客観度」、「自己認識力」、「対人関係調整力」の3要素から算出。リーダーとして状況を把握し、チーム全体を俯瞰して適切な判断を下す力を表す
指標2:「自由度」、「保護度」、「厳格度」の3要素から算出した指標。緩めるところは緩め、締めるところは締める、をバランスよく行えるかどうかを表す
上記の2つの指標とも高い人がリーダーに向く人材と判定される。

最後は経営者が判断

 リーダー適性の高い約10人のうち半数は既に管理職にありました。したがって残る半分が今後のリーダー候補です。Y社長はリーダー候補の顔ぶれにはうなづけるとしながらも、今回の診断結果だけで管理職人事を決めることはしないと言います。
 「データはあくまでも参考。一人ひとりと向き合って最後は自分で見極めたい。」とY社長。こうした姿勢は、データを活用してマネジメントを行う際にとても大切です。つまり、データではなくY社長が主体であるということです。自分の考えに基づいて何かを決断する、その裏付けとなるのが今回のデータである、というのが正しいデータ活用のあり方です。

 また、リーダー適性以外にもパーソナリティに関する様々なデータを提供しました。思いがけない社員の一面に触れることができ、収穫が多かったといいます。
 この事例では、経営者さんが自分の会社についてこれまでとは違った角度から見直すことができる数々の材料を提供できました。よい結果が期待できそうです。

注)上記レポートでは、顧客企業の特定につながると判断される部分については実際と異なる内容に変更しています



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